家事の分担は円満な家庭を築く

2018年12月18日 / 部長 山中 和則

 最近、家事が楽しい。朝から洗濯、食事の準備、ゴミ出しと目白押しだが、自然と体が動く。特に晴れた日に洗濯物を外干しすると、とても清々しい気分になる。

 シングルファザーとなり10年。二人の子供たちもそれぞれの道を歩み始めるところまで来た。長い意味での子育て期間にほぼ目途が立ったといえる。妻が突然の病に倒れてから家事の一切を担ってきたが、これほどまでに手間と時間がかかり、そして根気の要るものとは思いもよらなかった。

 家事とは読んで字のごとく「家の仕事」。会社の仕事と同様、実に多種多様である。1日の平均家事時間については様々な調査データが公表されているが、概ね3時間といったところである。私自身も普段の家事にどれくらいの時間がかかるか測ってみたことがあった。平日の朝では約70分。特に朝食づくりに時間がとられる。夜は約100分。スーパーでの買い物、夕食づくり、洗濯物の取り込みと仕分け、翌朝の食事の準備、家計簿チェックなど。結果は1日3時間弱であり、前述の平均家事時間とほぼ同じであった。さらに休日にはふろ掃除やトイレ掃除、クリーニングなどのメニューが追加される。毎日ひとりでこなすには尋常でないボリュームである。

 2017年に大和ハウスが共働き夫婦を対象に実施した「家事に関する意識調査」では、家事として認識されづらい『名もなき家事』の存在が明らかにされている。その中で、男性が家事という認識はあるが、行っている人が少ない作業に「アイロンがけ」「食事の献立を考える」「洗い場のタオルの取り換え」「調味料の補充」などが挙げられている。そんなことかと思われるが、自分事という意識がないと普段気づきもしないことだろう。たとえ気づいたとしても、その場で体を動かすのは億劫であり、妻から言われて渋々腰を上げるといったところだろうか。

 家事は誰かがやらなければ生活に支障をきたす。ただ、共働きが当たり前の中、仕事で疲れた上に、家事で自分の時間を削られたくないという気持ちは夫婦お互い様であろう。最近では、家事の省力化を手助けしてくれる様々なサービスや家電が充実してきている。日々の買い物の手間を減らす生鮮食材や日用品の宅配サービスについては、生協、大手スーパーのみならず、コンビニチェーンやアマゾン、楽天が時間単位での配送サービスを提供している。またドラム式全自動洗濯機の性能も大幅に向上しており、洗濯から乾燥まで操作ひとつはもちろんのこと、繊維を傷めることなくふっくらと仕上げてくれる。食器洗い乾燥機も食後の洗い物の煩わしさや冬場の手荒れから解放してくれる。

 さらに、家事の役割分担は家庭の中のみならず地域社会にも広がりを見せている。大阪の公立小学校では2年前から毎週3回、自己負担1食50円で朝食を提供、学力の向上にも繋がっているそうだ。また広島県の小学校でも、希望する全児童に朝食を無償で提供する取り組みが進んでいるとのこと。このような取り組みが全国各地に広がってほしいところだ。

 今後も家事の省力化はある程度進むとはいえ、結局、人の手によらなければできないことは盛りだくさんだ。やはり家事の基本はできる限り皆で分担しあい、個人にかかる負担を軽減することに尽きる。我が家でも子供たちの成長に伴い、できる範囲で家事の分担をしてくれるようになり、家事へのストレスも大きく軽減されてきた。最近、家事が楽しいのはそのせいかもしれない。