「ソロ活」は特殊な活動なのか

2018年9月20日 / 研究員 六鹿 マリ

 「おひとりさま」という言葉が世に出てから20年近く経つが、ここ数年「おひとりさま」は「ソロ活(「ソロ(ひとり)での活動」の略称)」とも言われるようになってきている。
 「おひとりさま」という言葉には、いつの間にか「結婚できない女性」「寂しい」といったネガティブなイメージが連想されるようになったが、「ソロ活」という言葉には、「自由な単独行動」「ひとりの時間を充実させる」といった、よりポジティブな意味合いで使われている印象がある。
 現在の「ソロ活」を俯瞰すると、食事、旅行、カラオケ、テーマパーク、果てはキャンプなどその活動範囲は広い。その中でも特に映画、つまり「ひとり映画」は最もハードルが低く、かつ満足度の高い「ソロ活」のひとつではないだろうか。ちなみに、私が初めて「ひとり映画」をしたのは高校生の時である。友人と観に行った映画をもう一回観たくなったのがきっかけだ。もともとひとりで出かけること自体には特に抵抗を感じない方であるが、実際に「ひとり映画」をしてみるとその手軽さを実感し、ひとりで映画館に行くことも自分にとっては自然なこととなった。今も少なくとも月に1回は映画館に行っており、そのうちの9割はひとりだ。
 さて、自分にとってはごく自然な行動である「ひとり映画」だが、世間一般ではどう受け止められているのだろうか。昨年、市場開発研究所という調査会社が行った「ひとり映画」に関するアンケート結果を紹介したい。
 調査対象者は直近1年間に1回以上映画館に訪れたことがある首都圏の18~59歳男女640人。この中で、直近1年間に「ひとり映画」をしたことがあるのは、全体平均で53%であり、最も多いのは18~29歳男性で74%、最も少ないのは18~29歳女性で33%である。男性では年齢が高くなると「ひとり映画」経験者が減少し、反対に女性では年齢が高くなると増加するという傾向がみられた。さらに、直近1年間で「ひとり映画」経験のない人に注目して、「ひとり映画」に行ってみたいかを訊いてみると、現在「ひとり映画」経験者が最も少ない18~29歳女性の利用意向が54%と最も高かった(利用意向の全体平均は40%)。ここから、「ひとり映画」を阻害している要因を取り除くことができれば、「ひとり映画」需要はまだまだ増える可能性を秘めている、といえるのではないだろうか。
 ところで、「ソロ活」をしたいと思いながらも実際にはしない理由として、「人目が気になる」がまず容易に想像される。これを裏付けるように、上述のアンケート調査においても、「ひとりで映画を観ても楽しくない」という回答は一定数あるものの、「ひとりで映画館に行くのが恥ずかしい、入りづらい」という回答も多く、特に18~29歳男女においてその傾向が顕著にみられる。しかし、最近の映画館には隣との間隔があいた独立シートなどが用意されており、ひとりで映画館に行くことを楽しめる環境ができてきている。
 このように、企業側が「ソロ活」をする人に寄り添い始めている今こそ、他人の目に囚われずに、したいと思う「ソロ活」を堂々とできる時期が来ているのではないか。
 現在はあまり聞き馴染みがない「ソロ活」という言葉は、今後は誰にでも知られることになるかもしれない。
 しかし、「ソロ活」が当たり前のように日常の暮らしに浸透していった結果、「ソロ活」という言葉自体が廃れていくことが本当の理想ではないだろうか。なぜなら、単独化・個人化が進む現代、あるいは個々人の多様性が容認される現代においては、ひとりで食事をしたり遊んだりすることは誰かと過ごすことと同じくらい自然なことだと私は考えるからである。