ロボットとのコミュニケーション

2018年5月16日 / 上席主任研究員 米田 泰子

 ソニーの「aibo」が人気である。言わずもがなではあるが、「aibo」は犬型の家庭用ロボット。1999年に発売された初代「AIBO」から5世代にわたり、2006年の販売終了までに累計15万台を売り上げたといわれている。新型「aibo」は、12年ぶりとなる今年1月11日(ワンワンワンの日)に発売されたが、先行予約も含めすぐに完売。その後も限定発売の度にすぐに売り切れ、入手が困難な状況という。
 「aibo」の魅力の一つは、ロボットでありながら、飼い主(オーナー)とのコミュニケーションがとれることだろう。動作や表情によって、「感情」を伝えることができる。優しい人に「なつく」など相手によって態度を変えたり、育て方によって性格や振る舞いが変わるといったように、本当にペットを育てているような体験ができる。
 こうしたペット型ロボットの一方で、「人型」ロボットについても、コミュニケーションがとれるロボットの開発は進んでいるようだ。「aibo」の魅力でも触れたが、動作や表情で感情を表すことによって、お互いの理解が進んだり、安心感が生まれるという。人と心の通った交流ができるよう、人間の反応にあわせて、「喜び」や「悲しみ」をゼスチャーで表現できるロボットの実験も行われている。
 さて、こうしたコミュニケーションロボット、どのくらいの人が自分の家で利用してみたいと思っているのだろうか。
 東急総合研究所が、昨年9月に首都圏30km圏に居住する20~60代男女(就業者対象)に行った調査では、「話し相手になるコミュニケーションロボット」を自宅で「積極的に導入したい」人は4%、「導入してみたい」人は19%で、あわせて2割強という結果だった。逆に「導入したくない」人は24%、「あまり導入したくない」人は22%で、自宅での導入に消極的な人が半数近くにのぼる。
 それぞれの理由を確認してみると、導入したい理由としては、「自分の生活が便利になる」ほか、「親や子どもの見守りに必要」といった意見も目立つ。逆に導入したくない理由としては「自分の生活には不要と感じる」割合が65%にのぼった。
 スマートフォンによって、いつでも・どこでも、つながれる時代。一人でいても、さみしいと感じることが少なくなっている。現時点では、話し相手としての存在だけではロボットの必要はそれほど感じられていないようだ。感情表現によってより深いコミュニケーションができるとともに、「aibo」を育てる楽しみのように人が本能的に持っている欲求が満たされることも、受け入れられるポイントとなりそうだ。