2017年度

6.東急グループに求められる多様性マネジメント

                                                主任研究員:野崎 由香理
(1)研究の目的・背景
人の多様性(ダイバーシティ)は、性別、年齢、人種など外見から識別可能な「表層的ダイバーシティ」と、パーソナリティ、習慣、職歴
など内面的な特性を含む「深層的ダイバーシティ」に大別される。
日本では2000年以降、製造業を中心に急速に進展したグローバリゼーションとともにダイバーシティ・マネジメント(DM)が導入された。
近年では女性活躍推進法の施行、働き方改革関連法の整備など国を挙げての施策推進によって、企業はますますDMに対応せざるを得ない
状況に置かれている。このような社会的要請の強まりに、企業は自社に“なぜ”、“どのような”DMが必要なのかという議論を十分に
行わないまま、話題が先行しがちな「表層的」施策の立案に終始しているように見受けられる。さらに企業の取り組みに対して、従業員の
意識は必ずしもキャッチアップできているとはいえない。その背景として、DMに対する表層的な理解が原因ではないかと考えたのが
本研究の立脚点である。
本研究の目的は、経営成果につながる多様性の次元を特定し、東急グループに求められる多様性マネジメントのあり方を考察・提言する
ことである。

(2)研究テーマ
DMに関する3つの問いを明らかにするなかで、まず現状の一般的なDMの認知・理解度と施策の実施状況などの全体像を捉える。
そして経営成果につながるダイバーシティの“中身”と、経営成果としてのDMを実現するために有効な企業行動を提示する。
①経営成果としてのDMは、どの程度理解されているのか
②経営成果につながるダイバーシティは何か
③経営成果としてのDMを実現するには、どのような企業行動が有効なのか

(3)調査概要
①調査手法
 a. インタビュー調査
 b. 質問紙調査(インターネット調査)
②調査実施期間
 a. 2017年7月~9月
 b. 2017年10月~12月
③調査対象
 a. DMの組織風土の側面から実証研究を行う学識経験者と企業のDM担当者。企業は経営産業省「ダイバーシティ経営100選」の
   初期の受賞企業から、先進的取り組みを行う企業を選定した。
 b. 従業員300人以上の企業に勤める20~59歳の男女3,000人(公務員、自営業、会社社長・役員を除く部長職以下の社員)。